『熱いぜ辺ちゃん』 福本伸行

熱いぜ辺ちゃん 1 (近代麻雀コミックス)

アカギやカイジで有名な福本伸行。知られざる名作、『熱いぜ辺ちゃん』をご存じだろうか?福本伸行は今でこそ夢も希望もないウシウシした世界を描いているが、昔はド直球の人情味溢れるヒューマンドラマを描いていたのだ。『銀と金』を描かせるまでに作者にどんな心境の変化があったのかはわからないが、ヒューマンドラマは売れないのかもしれない。

辺(ぺん)ちゃんこと渡辺裕一は病的に麻雀が好きな学生である。麻雀を通して恋愛や人生模様などなど、色々なドラマが描かれている。これがまあ人情味溢れててほんと良い物語なんですよ。

で、かの有名なカイジでも若い青年のモチベーション的なものに触れているけど、この『熱いぜ辺ちゃん』でも触れています。

福本信行が一貫して描いているのは人の心、心理だ。(初期と売れてからでは作風違うけどどちらもハイクォリティ。近年のアカギとかカイジはもう知らん笑)

 

俺は以下を紹介したくて今回取り上げました。

 

辺ちゃんと仲良くしてた、麻雀狂のホームレスおじいちゃんから辺ちゃんへ、そして皆へ、死の間際に書かれた手紙です。

 

気が付くとボーっとしちゃう若者へ―

 

ありふれた若者へ―

 

 

70年生きて経験のある事だから話します―

私は怠惰でした―

よく1日頭が痛くなるまで寝ました―

私は食事の後 風呂の後 酒の後 何かを3時間以上続けてした後

眠くなるのです

 

ほとんど絶望的に怠惰な人間でした―

 

やりたい事はやまほどあるのに体を動かす段になると億劫で結局何もしませんでした―

 

精神だけでフワフワ飛んでいけたら私はどんなに行動的だったでしょう

 

自分が考えているよりも自分の体はズーッと重いのです

 

自分の重さなどという事も寝込んで立てなくなってから気が付きました

 

そしてその「怠惰」という重さの弊害も…

 

このふたつに抱きつかれたら誰だって一歩も動けません…

 

 

でも…

 

いいかげんなところでふっきらないといけません

なんといってもいけません

「よいしょっ」とかつぎ出して下さい

 

自分の体重と怠惰を…

 

どうもそれ位の気構えじゃないとダメみたいです

 

 

病院で動けなくなってから愚かにも私は気が付いたのです

 

無性に生きたくなった……

 

私は今までの人生がたまらなかった

 

 

 

私がやる気になった時

 

もう体は動かなかったのです

 

 

 

未来あるみんなへ―

 

ぜひ自分をかつぎ出して欲しいのです

 

怠惰と体重をふりきって…

 

 自分を街へ―

 

人へ 夢へ―

 

明日へ―

 

 

どうかできましたら私の事を他人事だとか特別だとか思わないで欲しいのです

 

 

 私は昔―

 

気が付くとボーッとしている若者でした―

 

ありふれた若者でした―

 

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